ふとんのコト、睡眠のコトならお任せ!柏・我孫子の快適・快眠を考える「柏・我孫子寝具組合(KABA)」

特集コンテンツ:KABA(柏・我孫子寝具組合)にロングインタビュー!


このコーナーは、柏・我孫子寝具組合の寝具店の店主たちに、ホームページ・プロデューサーが数時間にわたってロングインタビューした際の内容をまとめたものです。
寝具の本当の魅力、寝具店の在り方、布団のトリビアなど、面白くてためになるトークが満載です。

【VOICE.1】布団を打ち直せば、新品以上になることも・・・!

【VOICE.2】布団屋とは「綿屋」。綿っていう素材の素晴らしさがあってこそ。

【VOICE.3】市場に数多く出回ってる格安布団は、布団専門店から見れば布団じゃない?

【VOICE.4】布団屋は睡眠のコーディネイター。快適に眠れるという素晴らしい付加価値を作る仕事。

【VOICE.5】若い人って、本物の布団を知らないんじゃないか?木綿と真綿の違い、知らないかも。

【VOICE.6】かつて綿は財産、家財だった。綿を取り替えるかも、と疑われるから、おかみさんの前で打ってたんだ。

【VOICE.7】格安布団に寝ている人が、布団屋の布団にあこがれるようになるといいなぁ。

【VOICE.8】布団屋だけでなく地域のお店を見直そう。お店も、来店しやすい店づくりを頑張ろう!


【VOICE.1】布団を打ち直せば、新品以上になることも・・・!


―― 皆さんは、布団の専門店、つまりプロとして、打ち直しして古い布団を再生させたり、専門店ならではの品質へのこだわりとか、そういうのがあると思うんですよ。
でも、イマドキの一般の感覚としては、布団が古くなったら量販店などで、手ごろな値段の新品を買ったほうがいいって思ってるんじゃないかと・・。
そのへん、どう感じてます?
カバ そういう人が多いのは確かなんだけど、でもエコ・・リサイクルも考えなきゃいけない時代でしょう?捨ててしまえばゴミだけど、再利用すれば資源になるんだから。
というか、ちゃんとした布団っていうのは、古くなっても蘇る。ゴミじゃないんだから、捨てないでほしいんですよね。
―― だけど、古くなったものはゴミ、直るもんじゃない、捨てて買い直すもんだっていう考え方が多い。
カバ 昔は、次の代に順々に打ち直して使ったモンなんだけどねぇ。そもそも、打ち直しって、量販店に行っちゃう人が思っているよりも、ずっと安いんですよ。それで質のいい新品同様の布団になるんだから、本当は経済的な意味でも、布団屋がオトクなはずなんですよ。
―― 打ち直しって修理みたいなモンですよね。
新品買うより修理したほうが安いってのは、本体アタリマエのコトなんだけど、イマドキって、新品のほうが修理より安いっていう感覚になっちゃってる。
でも、布団は今でも修理のほうが安いんですね?
カバ 何でも、ってワケじゃないんですけどね。元の布団がヒドイものだったりすると、打ち直しようがないし・・・。
―― でも、元がそれなりにちゃんとした布団なら・・・
カバ それは再生できる。単に洗うだけとかじゃなくて、綿を詰め直したり、カバーを取り替えたりするから、やり方によっては新品以上になることもありますよ。
―― 新品より安くて、新品以上っていうのは目からウロコですね!
カバ 必ず安く上がるってコトじゃないので、そこは勘違いされちゃうと困るんですけどね。ただ、よっぽど粗悪な布団を買うんじゃなければ、新品に買い替えるの同程度で打ち直しできることが多いんです。
そうやって打ち直しすることで無駄なゴミを減らして、でも寝心地のいい布団であり続けられるのなら、それは一番だと思うんですよ。
―― 考えてみれば、昔は布団って財産ですものね。それこそ、何代も受け継がれていくような・・。古い怪獣映画だと、リヤカーに布団積んで逃げる群集って必ずいたし(笑)。
カバ 今は大量消費大量生産の時代だから、布団に限らず、古くなったら捨てりゃいいって、万事がそうなっちゃってるんですけど、本当の布団はそうじゃないモノなんですよ。
―― そういう意味では、買い替えればいいって考える人たちっていうのは、プロが作った本当の布団で寝ていないということなのかも知れませんね?
カバ 宣伝不足ですかね?(苦笑)
―― 布団屋さんって、布団を売ってるだけのお店じゃないでしょう?
量販店は売ってるだけだろうけど、布団屋さんは寝具のプロ、職人ですよね。
そういう、売ってるだけじゃないってトコが、一般に周知されてないって部分はあるんじゃないですか?
カバ 職人って弁説下手だから・・。
布団って、昔ながらの生活スタイルの中で唯一残ったものなんです。残ったってコトは、優等生なんですよ。でも、その良さをウマく説明するのって大変で、モゴモゴって口を噤むことが多くなっちゃう。で、面倒くさくなっちゃうんですよねぇ。
―― もったいないなぁ。
ボクも布団の広告のために少しは勉強したんだけど、布団屋さんで布団やってもらうときって、製品を買うにしたって、綿の入れ方変えてみたりとか色々できるワケですよね。大手量販店じゃそんなことはやらない。テレビショッピングで買ったって、もちろんやるわけがない。それって自分だけのカスタム布団ができるってことでしょ。それも、ほとんど定価の範囲内で。
カバ そうなんだけど、それをちゃんと説明しようとしたら、綿の良さから説明しないとダメだと思うんです。
だって、綿って寿命がすごく長いんですよ。そういうことから語っていって、他のいろんな化学繊維とかとの違いの説明とかし始めると、ホントに長くなる。
お客さんに、それを聞くだけの時間的ゆとりがありますか?って聞いて、OKってなったときに、初めて「じゃあ」ってなるんです。


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【VOICE.2】布団屋とは「綿屋」。綿っていう素材の素晴らしさがあってこそ。


―― 前に綿の見本に触らせてもらったことがあるんです。手に乗っけてくれたりして、乗っけていると体温で温かくなってくる。ああいうのって化学繊維とかじゃ起こらないワケでしょ?
カバ ダメですね、本物の綿だからこその部分だから。だから綿の布団は温かい。
十分な時間があるお客さんは、そうやって体験させてあげられて、どう違うのかっていうのをお客さんに考えてもらえる。そうすると、やっぱりちゃんと分かってくれる。
ただ、そういうお客が少ないし、布団屋のほうもね、面倒がってしまう部分はあるんだけど・・・。
―― それって、布団屋としてはアタリマエすぎて語るまでもないと思っちゃっている部分があったりしませんか?一般人との知識のギャップと言うか・・・
カバ う〜ん、どうだろう?
でも、昔はそれこそ、綿は自分の家で作っていたし、仕立てるのも自分の家でやってたから、60歳ぐらいの人達までは、誰でも触ってたんだよね。
でも、その下の人達は、布団屋さんが普及したから、自分の家で綿を入れるとかしなくなっちゃった。だから体感できなくなっちゃった。綿の良さもわからないし、化学繊維と見分けることもできなくなった。
―― そうですね、ボクらは布団の中身については、何にも分かってない。化学繊維だろうが何だろうが、綿も含めて、全部「布団の中に入っているもの」であって、目には触れないものですからね。
カバ 大きな部分は素材の持つ良さなんですよ。何が決定的に違うかっていうと綿が持つポテンシャルの高さ。それがすっごく大きなことなんです。触ってみたりすると良く解ることなんです。
綿って言う素材の素晴らしさがなければ、もう、とうの昔に布団はないんですよ。
―― なるほど、布団屋っていうのは綿を扱うプロ職人ってことなんですね。
その知識や技術そのものが本来の「売り」なんだ。
カバ そう言えるでしょうね。でも温度差っていうか、今の世代は、自分で綿を入れたり触ったりしたことがないから「布団屋とは何か」が伝わってないんですよね。
―― やっぱり布団の本質は綿
カバ そう、なんて言っても綿が一番大事。布団屋ってのは、結局「綿屋」なんですよ。
綿の良さを分かってないと、使ったことのないお客さんに売るっていうのは難しい。
―― ボクなんかはロクでもない布団で寝てる方だけど、布団屋さんでちゃんとやってもらった布団に寝慣れてる人からみたら、量販店の布団とか「おいおい…」って感じはあるんでしょ?
カバ 旅行先でベッドとか布団とか見ると「これは…」っていうパターンはありますね。
―― 綿の魅力って何なんだろう?
例えば、化学繊維とかでやってる中身と綿ってどう違うのか。
カバ 何にも代えられない、天然の物ならでは良さですね。
吸湿性とか通気性とか、綿って、本当にいいんですよ。
―― やっぱり、そういうのは化学繊維とかでは再現できない?
カバ うん、違いますね。試しに布団の中を見てみればイッパツで分かるんだけど。布団の丸洗いとかやっても、丸ごと洗うだけで中に詰まっているモノそのものは洗ってないんですよね。だから汚れとかは外へ出ない。中を見たらすごいことになっちゃってるケースも多いんですよね。
―― 布団の、例えば羽毛を洗うにしても綿とかにしても、洗ったりってどのくらいのペースでやるんです?1年に1回とかそんな感じ?
カバ 敷布団は洗わない、打ち直し。
じゃあ、打ち直しはどれくらいのペースでやるの?
カバ まあだいたい3〜5年が目安ってトコかな。ウチは5年でやってることが多い。
ほこりが綿の間にたっぷり溜まってますから。まあ、使用頻度とか、お客さん用の布団と毎晩使う布団では違うし、干し方でも変わるから、あくまでも目安ですけどね。
―― つまり、3年ごとくらいにチェックしたほうがいい、と。
カバ でも合成繊維の場合は一回詰まったらそのまんま、詰まりっぱなしなんだよね。それで耐えられなくなってポイ、でまた買って耐えられなくなってポイ、の繰り返し。
―― やっぱ、もったいない・・・


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【VOICE.3】市場に数多く出回ってる格安布団は、布団専門店から見れば布団じゃない?


カバ もったいないってだけじゃなくて、品質もちょっとね。市場に出回ってる布団って、殆どは、本来我々が布団っていう物では無いんですよ。
6,900円で掛け布団と掛け布団かバー、敷布団と敷布団かバー枕と枕カバーがついて6千何百円、それにベッドがついて何とかが付いて1万4千何百円。アレって、布団屋からすれば、ふざけるなっていう話なんですよ。
―― だいたい布団屋さんの感覚からしたら「今ならもう1枚お付けします!」とかあり得ないんでしょ。魂込めて打ってるわけだから、カンタンにもう1枚なんて言えるわけがない。
カバ アレを修繕したいって持ってきた人いるんだよ。お値段以上×××の羽毛ふとん9,900円ってヤツ。
―― ああいう格安布団って直らないんでしょ?
カバ 無理。これはお持ち帰りくださいって言うしかない。とてもじゃないけど修繕して使うもんじゃない。でも、掛けてたらダストアレルギーとかになるんじゃないかって心配になる。
―― でも、見てくれはキレイに作ってるから、使ってる人はわからない・・・
カバ アレってニワトリの羽根だもん。じゃなきゃ、9990円で売れないって。
商社を経由して中国の山奥の工場から…だから委託生産したときはいくらで作ってるのこれ?って話
―― あけて中を見てみたりすると・・・
カバ 小羽根がそのまんま入ってたり、ゴミみたいなのが詰まってたり・・・
―― うわぁ・・・。
カバ いや、ほんとにそういうのがあるんだから。打ち直しに来る人は、ちゃんとした布団を使ってるから、中を見ても大丈夫なんだけど、打ち直しにこない人って量産品でしょ。中がどうなってるか分からないよね。
―― こわいですねぇ。
カバ オレ、そういう布団って、いずれ駆逐されるだろうって思ってたんだけど、いつまでも駆逐されないんだよねぇ。
―― それは逆に言うと消費者が本物を選ぶっていう目を持たなきゃダメだってコトですよね。
カバ ただね、これは解るだろうっていう…聞いた話なんだけどね。とある会社で、今年の正月に5980円の羽毛布団っていうのを40万枚作ったらしい。でも、中国から荷揚げ船便で20万枚は強制送還。何故か?臭くて上げられない。
―― 臭い?
カバ うん。チラシで謳ったから売り場へ出したら、売り場の周りから「臭い」って苦情が出て。なんだこの臭いはって。それが5,980円の布団。そんなもん買って、二度と羽毛ふとんなんて使いたくないって思うよね。
―― 大手の大型スーパーとか量販店とかの名の通ったお店で、そういうコトが起こってるわけですか?
カバ 前にも大型スーパーの○○○がそれでね、公正取引委員会に注意を受けたりしてたからね・・・。もっとも、悪意でやってるわけじゃなくて、布団の善し悪しを見分けられないから、そうなっちゃうんだろうけど。
―― こう言っちゃなんだけど、やっぱり一般の消費者って言うのは寄らば大樹の陰で、町にどんなにこだわった良質なお店があったとしても、結局は大きい会社とか大きいお店とかに行きがちで、それが安心だと思っちゃう部分ってありますよね。
本当は個人店がイイ品って部分もあると思いますよ。規模で勝てないんだから、質で勝負するしかないんだもの。大手と同じ品質じゃやっていけないんだから。
カバ 電気製品なんかは安ければ安いほどいいかも知れないけど、それと同じように布団を考えられちゃうと困るんだよね。
―― 布団屋さん的に言うと、布団って言うのは山積みしといて「ハイ、これが商品ですよっ」て買ってもらうのではなく、1つ1つ作るモンなワケでしょ。
カバ 店頭に飾るものはあるにしても、多くは注文ですね。
布団は棚から買ってショッピングカートに突っ込むってものじゃなくて、作るもの。それが常識だったと思うんだけど、いつの間にかそうじゃなくなった。
―― それ、逆に考えると、もっと昔の、多くの人が布団屋さんに頼ってた時代っていうのは、みんな「今よりいい布団」で寝てたってことになるのかも。
現代になって豊かになってるのに、布団は悪くなってるんじゃないのかな?
カバ 元々は綿って貴重品だっていう概念があったの。
例えば、最近まで「江戸時代の綿じゃねえの?」ってのを使ってる人がいるんだ。農家なんだけどね。で、オレの親父の世代だと、それをきっちり打ち直して、ちゃんと形になっちゃう。それを又何年も使って、っていうパターンでそれも伝わっちゃってる。
何故かっていうと、自分の財産だから捨てられない。
何十年も使ってカチンカチンの綿でも捨てられない。
―― 「江戸時代の綿」ってスゴイですね。今でも使えるの?
カバ モノは最初はいい綿だったかもしれないけど、いくらなんでもキツいですよね。
だから、痛しかゆしっていう部分もあるんだよね。確かに綿の寿命はかなり長いんだけど、いくら打ち直したって、さすがに江戸時代じゃキツイ。
―― 綿の寿命ってどれぐらいなんですか?
カバ 一概には言えないけれど、30年とか40年っていうサイクルですね。
―― となると、2〜3世代は大丈夫ってことですね。家と同じくらいだな。
やっぱ貴重品のサイクルですね。それを10年くらいで捨てちゃうんだから、やっぱりモッタイナイ。
カバ 元々の布団は、その人ごとに作っていた「特注品」なわけだから。それを打ち直しながら、常に使う人にフィットするようにしていくっていうのが布団のあるべき姿なんですよ。
でも、それは「布団屋で作った布団」だからできることで、工場で大量生産される布団じゃ無理なことが多いんです。
―― そういう、いい部分を現代人は活かせていないんですね。
こないだヤフーのニュースで、粗大ごみの中で(布団が)かなり上位だって話が…
夢の島あたりに捨てられちゃうモノの中でナンバーワンだ、みたいなことが書いてあったんですよ。記事中でも、もうすこしエコを考えて、布団の再生とか打ち直しを考えるべきじゃないかって、そういう意見もあったんですけどね。
カバ 布団屋が頑張ってる地域なら、そんなにゴミになってないと思いますよ。
―― じゃあ、そういう意味でも布団屋さんは頑張んなきゃいけない。


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【VOICE.4】布団屋は睡眠のコーディネイター。快適に眠れるという素晴らしい付加価値を作る仕事。


カバ こういう技術ってのは伝統工芸的な部分もあるしね。…和傘が無くなる、ゲタが無くなる、障子も襖も無くなる、そのうち畳もって感じで。
無くなるって言うよりも、本物じゃなくなるって感じかも知れないけど。
―― でも、布団に代わる次世代の何かって今のところ無いでしょう?
カバ 布団を使わないで寝られる…例えばカプセルみたいなモノで快適に眠れるようになったら…とか、あるかもしれないけど。
―― SFとかでは、そういうのも見るけど、そういう時代でも布団は布団であってほしいなぁ。カプセルで寝たいと思わないもの。
カバ 日本だけじゃなくて世界中で、毎日、ほとんど全ての人が使ってるのが布団なんですよ。しかも、安眠できるかどうかっていうのは、健康にも大きく影響するわけで、身近すぎるモノだけど、とても大事なモノでもある。布団屋は、そういうモノを扱っているっていう職人としての思いも持っていて、そういう部分をね、もっと知ってほしいとは思いますね。
―― そういう思いはボクも、広告の職人だから、すごくよく分かります。
例えば、ココにあるテープレコーダーでもね、量販店で隣のモノと何が違うのかって、値段が違う事以外わからない。店員も知らないことが多いでしょ。
カバ 量販店の布団も同じですね。9,800円の布団と7,800円の布団があって、二つの違いは何なの?っていったら、「ちょっと待ってくださいね…綿の割合が何パーセントで…」ってカタログに書いてあることを読み上げるくらいのモンだからね。
―― それが布団屋さんだったら、自分のところにある布団のそれぞれの善し悪しってのは分かってるわけですよね。つまり価格の根拠とか、そういう大事な部分をちゃんと知っていて、アドバイスしたり、品物をアレンジしたりもできる
カバ そんなの布団屋なら、当たり前のコトなんですけどね。
―― でも、一般客は、そう思ってない。その認識のズレが問題じゃないかな?
布団屋さんって、睡眠のコーディネーターとも言えますよね。お客の状態や要望に応じて、打ち直したり、綿の詰め方を変えてみたり、工夫ができる。そうやって快適に眠れるという、とても素晴らしい価値を生み出す。
それが布団屋なんじゃないかなってボクは思ってるんだけど?
カバ そうなんだけどね、バブルの時代に、布団屋さんの多くが、もう布団なんて売ってないで、みんな建て替えちゃったりもしたんだよな。布団屋を続けても、昔みたいには儲からなくなったしね。
―― 確かにウチの近所でも、テナントにして貸していたり、営業してるのかどうか分からないような布団屋さんが多いですねぇ。
カバ それと集合住宅が増えて、布団が干せませんっていうパターンで綿の布団はダメだっていう…それを逆に利用したのが量販店で、それが合致しちゃった。
―― でも、果たしてそれってどうなんだ?っていうのはありますね。
だいたい、布団だけの話じゃないですけど、そういうものを干したりするのって普通あたりまえの話じゃないですか。
カバ 今は「干さないでいいんです」っていう布団が多くなってるんだよね。メンテナンスしなくてよくて、それでダメになったら買い替えればいいっていう・・・。
―― 大量消費・大量生産ってヤツですね。
でも、メンテナンスの楽しさってあるハズなんだよね。
コレ、布団だけの話じゃないんだけど、今の時代は、多種多様に趣味とかやってるくせにメンテナンスはしたくないっていう風潮があるでしょう?
ボクの本業は漫画家だから、おもちゃとかフィギュアとか詳しいんだけど(笑)、昔だったら、プラモデルを買って自分で作ってた。それが今は既製品を買う人が増えた。最初から出来てるヤツ。
昔だったら何万円もするモノでも、自分で何ヶ月もかけて作るのがアタリマエだった。その工程も楽しみの一つだったんだけど、今は「自分では何もしない」が主流になりつつあるんですよ。アキバのフィギュアショップなんか、ほとんどそう。
カバ あー、なるほどね。
―― 量販店と布団屋さんの違いっていうのが、布団屋さんって言うのは職人がやってるわけでしょ。布団屋さんにいるのは職人で、量販店に居るのは販売員でしょ。販売員は布団を打てない。それは、売られてる物の中身が違うってことですからね。
職人じゃないと見えないモノってあるはずなんです。職人が職人の目線でちゃんと対応してこそ、って、多くの人が見直してくれないと。
カバ だけど、普通の10代20代の若い人からしたら、それは解んなくて、同じ布団でしょってコトで、だったら作り直すより買った方が早いだろうっていう発想になっちゃう。
―― そういう風潮を切り崩していこうと思ったら、やっぱり素材の良さからアピールすべきですよ。
既製品使っていて寝心地悪いなって思った人が来たときに、体験するチャンスがそこに生まれるから、そういう機会をちゃんと残していくって事だと思うんですけどね。
カバ 使い比べてもらって、実感してもらって、本物の布団じゃないとダメって思う人を、増やしていかなきゃいけないんだよね。量販店の格安布団なんかとは、まるで違うんだから。
―― それに、ちゃんとした布団の方が身体にいいっていう部分はあったりするでしょ。ボクにしたって背骨とか、ちょっと心配な気もしないこともないんですよ、特に年取ってきたら尚更。
カバ 綿を固めにしたり、逆に柔らかくしたりして、その人に合った布団に調節すると、そういうのって解決する事が多いんだよね。
―― そうでしょ、そういうノウハウも引っ括めて「布団屋さん」なんですよ。


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【VOICE.5】若い人って、本物の布団を知らないんじゃないか?木綿と真綿の違い、知らないかも。


―― 街の布団屋さんってのは、基本は注文生産でしょ。大手さんとか量販店とは、営業内容そのものが違うってコトですよね。
カバ スーパーとかっていうのは、まず先に、いくらまでっていう値段設定っていうのがあるから。例えばウチの地区に○○○ストアっていうのが出来るんだけど、その戦略みたいのが「○○○ストアでは2万円以上の布団は置きません」。
なぜかっていうと、スーパーのお客が見ただけで買っていくのは2万円以下のものだけなんだよね。それ以上の物は説明を要するんです。でも説明できる、あるいは説明する係員の人件費は出ない。つまり置いといて買ってくれるのは19,800円がリミット。だから、それ以上の品質のモノは最初から置かない。
―― 置かないってことは「ない」っての同じこと。大手スーパーが「これ以上のモノはない」って言ってるようなモンだから、消費者はそれを鵜呑みにしちゃう。
カバ 我々だと綿の厚さがこうで、とか色々会話する。昔は、何でも店の人と会話して買ってたんだよな。魚屋でも肉屋でも。今はそういうのが無いから。
―― それで失われてしまった価値ってのは確かにあるし、今でも、そういう価値を求める人々もいるわけで、このままでいいやってコトじゃないですよね。
カバ 今から30年前はね、寝具売上の全部の中の、約4割近くが布団屋さんだったの。つまり10枚の布団が売れてれば、内4枚は布団屋さんがオーダーで作ってた。
ところが、今は10枚の布団のうち0.8枚とかなの。デパートとかスーパーも減ってて、当時5パーセントしか無かった通販が、ぶわーっと増えて今7割くらいなんだよね。
―― でも、その通販、無店舗販売の品物っていうのは・・・・
カバ 一概には言えないけど「オイオイ」なモノも多いんだよね。
―― そうでしょ。布団屋さんがキッチリ打ったものと比較されるのなんて冗談じゃないって思うようなモノなわけですよね。つまり、色々と後腐れの無い世の中になってきたかもしれないけど、人間にとってとても大切な「寝るときの品質」は落ちてきてるんでしょ。
カバ 我々もう完全な少数派、マイノリティ。逆に言えばすげぇ特化したプロ。手で作ってる、何か今どき立派だよな、みたいな感じにもうなりつつあるんだよね。
―― てことは、今、布団屋さんで布団を作るというのは、ある意味ヴィンテージ的?
カバ 現存してるからヴィンテージとは言わないけど、でもまあ、それに近いものはあるだろうね。
若い人達は一度も寝たことないから、布団を買いに、たまに…年に1〜2回来るわけ、カップルで。オレが木綿の話をすると「はぁ〜」って聞いてね、最後に木綿の布団って作っていただけますか?って。
布団屋は布団作るに決まってるんだけど、知らないんだよね。綿って、こういう綿で布団作れるですか?みたいな話になる。
―― 今だと、バカ芸能人が出てくるクイズ番組とかで「布団の中には何が入ってる?」って質問に「綿」って答えは出てこないかもしれないですね(笑)。
カバ そうかも。もめん綿っていうのを知らないかも。真綿との違いとか解らないかも。真綿は絹の綿なんだよね。
「本当の綿だから真綿って言うんだ」とかいって真綿の布団くださいとか。
ウチはあんまり真綿は種類無いんですけどって言うと、そこにたくさん並んでるじゃないコレ真綿でしょうって。
これはもめん綿なんですって言うと「違うんだ!」って
―― それで、綿はどこでどうやって作ってるのっていう話になると、みんな知らないんでしょう?
カバ 真綿の中からもめん綿ができるとか、ワケの解んない話になっちゃう(笑)。


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【VOICE.6】かつて綿は財産、家財だった。綿を取り替えるかも、と疑われるから、おかみさんの前で打ってたんだ。


カバ 寝具の歴史って浅いんです。だからね言葉がキッチリしてない。
―― ちょっと待って、その浅いっていうのは?
カバ 実は大して長くなくて、江戸時代の後半ぐらいからなんです。
―― え?じゃあ、それ以前はなんなんですか?
カバ それ以前は「むしろ」みたいな。平安時代は「むしろ」だね。
―― 雅な方々とかも、立派なもんじゃなかったってこと?
カバ 本当に偉い人なんかは真綿の使ってたんじゃないかな。真綿の話を言うとね、綿って昔は「絹」だったの。
―― もめん綿って無かった?
カバ 絹を「わた」って呼んでたんです。
昔ね、繭をこう引っ張ると綿みたいになるでしょ。アノ状態を「わた」って言ったの。その後、時代が変わって木綿の綿が出た。それと区別するために真綿って言うようになった。
―― もめん綿の活用っていうのはベースは舶来?
カバ 日本にはもめん綿っていうのはないから。お蚕さんなんだよね。
―― 江戸時代ぐらいからそういうのが出てたってことなんですね?
カバ 正確に言うと室町時代ぐらいから。一部の、ひな祭りのひな綿とかね。兵隊さんが着る着物とかもね、それ以前は麻だったの。麻って、作るのにすっごい手間がかかるんですけど、丈夫なんです。
綿は織るほうにだけ使われていてね、ずーっと時代が下がって本当にたくさん取れるようになってから布団になったんだよね。だから、たぶん江戸時代の後半くらいなんだよ。
―― じゃあ、もうちょっと前の時代だと、本当に僕らが思ってる布団とは違うものなんだ。時代劇とかで古い時代でも布団使ってるけど、あれはフィクションなんだ。
カバ 時代考証をね、きっちりすると…
―― 意外に新しいものなんですね。
カバ 我々のおばあちゃん位なんだけど、生きてれば今100歳くらいの人が若い頃の、80年前くらいは綿はまだ貴重品だしね。
―― でも、その話から行くと、例えばちょうど戦後の高度成長くらいのころ、三丁目の夕日みたいな時代くらいのころって、間違いなく布団屋さんが打ってたでしょ。あのぐらいの時代に作ったものが品質的にもバランスのいいものだったりしないかな?
カバ う〜ん、けっこういいのが入ってるモノもあるんだけど、どうだろう?
その頃って、インドとか中国から材料として入ってきたものは、みんな紡績に回っちゃってるんですよ。
―― ああ、糸にね。
カバ 繊維工業が日本の重大産業だから。で、その機械に掛けたときに、下にほこりとして落ちる部分、ソレが布団屋さんの材料として出回った。
―― じゃ、あまりいいとは言えない?
カバ だって、原綿でガバっと来たやつを本当に布団用に、ほとんどなかったから。だから布団屋はそれを使ってた。イイモノもあったけど「そうじゃない、もっと安いの無いの?」って言われた時に使った材料ってそういうのですね。
だから、今で言えば、羽毛なんかも絞めてきてガバッと一緒に抜いて、こちらで洗う前に届いたら羽毛なんて殆ど入ってない。殆どフェザーでテキトーにボーンと突っ込んでハイ一万円とか。
―― ボクの子供の頃に、西郷輝彦主演の「どてらい奴」ってドラマやってて、あれでリヤカーに布団積んで大阪まで突っ走る、みたいなシーンがあって、まさにそういうものだったんだなって思ってた。
カバ 布団は、本当に火事の時に右往左往して持って逃げるっていうくらい高級でもあり、農家はほとんど自前で綿をとって打って作ってたんだよね。布団の中身って、財産そのものだったんだ。
例えばね、ウチの親父が初めて商売をしたときに、農家の人から打ち直しをしてくれって来るんですよね。何故かって言ったら、打ち直しして、それで自分で持って帰って仕立てないと、布団屋さんに騙されちゃうんじゃないかと。戻ってこないんじゃないかと…。
―― 財産を預けると考えれば、そういう意見も分かるけど・・・
カバ 始めた頃はすごい言われた。「お宅、綿とっかえないでよ」って。
―― 開業したばかりで、まだ信用が無いからってコトですね?
カバ 当時は、我々は出仕事(出張)してお客の家へ行って、おかみさんがいて、おかみさんの前で布団を仕立てて、はいどうぞって渡してたんです。そのぐらいの貴重品。だから、おかみさんが来てお茶を出して、それを飲んでからじゃないと仕事しない。家財をいじくるわけだから。
―― その布団が「家財」って意識が薄れてきてるんですね。「財」って意識がなくなってきてる。
カバ そう、今や消耗品だもん。
今、ポケットマネーで買える、ヘタしたらトイレットペーパーとかと同じように積んである。箒の横にとかイチキュッパとか言って。「おい、布団かよコレ」とか思っちゃうんだけど。
―― 大きなお金を出してないし、愛着も薄いから「家財」になってない、と。
カバ ホームセンターで布団売られるようになってから地に落ちたね。
だけど相変わらず我々が作ってるのは「手間をかけた布団」なわけ、れっきとした。天然のもめん綿を使って、そりゃ少しポリエステル混ぜるのもあるけど、綿100パーセントっていうのは、今では布団屋でしか売ってないから。だから、これを売るしかないなって思う。
―― というよりも、そういう「ちゃんとしたモノ」を売り続けてもらえないと、世の中がダメになっちゃいますよ。
カバ 実はね、布団の打ち直しに来たときに、他のものも全部売れてるんですよね。だから信用のあるところには、そういうお客さんが集まるハズなんですよ。
―― 分かる人は、ちゃんと分かってるんですね。


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【VOICE.7】格安布団に寝ている人が、布団屋の布団にあこがれるようになるといいなぁ。


―― ボクが絶対思ってるのは、例えば量販店が5,000円で売ってるからって布団屋さんも5,000円でやろうって、もし思ったら布団屋さんは終わりなんじゃないかと。
こういうことって価値観の問題でもあるから。
100円ショップでハサミは買えるからハサミは100円、っていうことじゃなくて、こだわって1,000円のモノ、1万円のモノが欲しいっていう奴は絶対にいる。100円ショップで買ってきた包丁で魚さばく気にはなれないんだっていう人が。
そういう人たちを支えていってこそ、一般の人にも分かってもらえるようになると思うんですよ。
カバ だから、それまで布団屋は頑張らなきゃならない。日和らないでやるってところが大事なんで。
―― でも、「いくらじゃないと」って言われて「じゃあいくらでやってあげます」って自分から自分を捨てちゃったら、職人は終わりですからね。腕でやってる以上「いくらでもいい」わけじゃないから。ボクもそうだけど、職人の値段には、全部根拠があるし、誇りも持ってるから。
カバ まあ、職人はみんなそうだよね。
―― そう考えると、量販店でいいと思ってる人達を呼び寄せようっていうよりは、本当にこだわってる人とか、いいものを持ちたいと思ってる人達に本当にいいものを提供する
それが一番なんじゃないですかね?
カバ 格安布団に寝てる人たちが、布団屋の布団に憧れるようになってくれるといいね。
ただ、日本人の弱いのは、そういう気持ちを持ってる人でも、それを求める場所って言うのがどこにあるのか解らない。そういうものがあるっていう事を知らせるってことをちゃんとしないと流されちゃうんだよね。
―― 長いものに巻かれろとかね。そういう所ありますね。
カバ それだから日本っていう国は上手く行ってたというのもある。あるけども、布団屋さんもね、ここまで少数派になったワケだから少数派の良さ、そろそろ解ってもらってもいい頃かなって。
―― そういうことを、ちゃんと知らせていくのが寝具組合の役目なんですよ。
カバ 布団屋さんがメジャーな時は、オレらがこんなこと言ったってしょうがないんだよ。昔は、誰もかれも、みんな木綿の布団で寝てんだもん。ウチの布団イイですよ、お宅の使ってる他所の布団屋さんの綿とは違いますって、みんなでケンカしてたんだもん。今は、そんなこと言ってる場合じゃない。
―― ほんとは、地域の布団屋どうしがケンカしてるような状態になったほうがいいってコトかぁ(笑)。
カバ それがね、たった10年か15年でパパッと変わっちゃって、組合からもボロボロ辞めていっちゃって、気がついたら16店しかいない。
―― 昔、布団で色々モメた時代があったでしょう?訪問販売とかで、何も分からないお年寄りに、高級羽毛布団を売り付けちゃうとかってヤツ。社会問題化して、クーリング・オフ制度が注目されるようになったキッカケみたいな。
高級羽毛布団って、そういうインチキ商売の代名詞みたいに言われた時期ありません?
カバ いや、今でもありますよ(苦笑)。
―― そういうのも、街の布団屋さんの足を引っ張ってるんですよね。
高いモノが、イコール悪じゃないんだけど・・・。
カバ そもそもウチらは、高級羽毛布団ばっかり売ってるわけじゃないから。高いモノも売ってるけれど、専門店だから、そういう高級品まで対応しているってだけのことですから。
―― 安い布団も、いっぱいありますもんね。
カバ 安くても、ちゃんとモノしか置いてないけどね。地域のお店は信用商売だから。お客も店も、お互い見知っている関係だから、いいかげんなコトはできない。
―― 変な話だけど、新聞紙まいてると意外に温かいでしょ。下手な布団って、新聞紙以下だっていう可能性ないですか?
カバ 粗悪な合成繊維だと、そういうこともあり得るかも。ただ新聞紙は通気性がどのくらいあるのかっていうのはあるけど(笑)。
―― さすがに新聞紙で布団つくろうって話じゃなくて(笑)
でも、化繊の布団と新聞紙とでサーモグラフィーとかでチェックしたら、布団負けてるぞっていうデータとれるかも知れないですよね。前に「自然の綿は呼吸している」みたいな事を聞いた事があるし。
カバ 人間も同じ飯食ってエネルギーに変えて、自分でしてるけどロボットはそうは行かない、自然の力ってスゴいんですよね。量販店がどんどん増えていく、そういう中で地域の布団店が残ってこれたのは、やっぱり綿っていうものの力、魅力なんです。
―― その魅力を最大限に引き出せるのが布団専門店なんですね。


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【VOICE.8】布団屋だけでなく地域のお店を見直そう。お店も、来店しやすい店づくりを頑張ろう!


―― 専門店=プロ(職人)っていう部分を、もっと見直す時代になってほしいですね。
カバ 八百屋で店のおやじと立ち話しながら買うのは面倒くさくて、スーパーでパッと買う方がいいっていう人も多いんだろうけど、そういう会話の中に、実は大事な部分が合あった。自然と商品知識を身につけるとか。
―― ボクは、そういう買い方、コミュニケーションのある買い方が見直される時代が来ると思うんですよ。みんなじゃないだろうけど、そういう価値観を求める人って、出てくると思う。
ただ、ソレを待ってるだけじゃダメで、こっちから機会を作っていくべきですよね。
カバ 変な話、組合の活動が、我々のこういうことが、NHKとか電波を通じて流れたときに突然ブレイクするんですよ。まあ一過性のものだけど。
―― いや、ブレイクは一過性でも、ちゃんと下地があってやってる仕事であれば、そこから広がっていく部分はあるでしょう。プロ中のプロがアドバイスをくれて、しかも良いものを作って提供してくれるっていう魅力はあるんだから。
カバ そのためには、やっぱりね、客に解ってもらうためにはね、入って行きやすい店づくりも必要だと思うよ。活気のないところで買い物してくれないもん。
電気代がもったいなからって電灯を消して、物が灼けるからって外から見えるところを暗くしちゃってたりして。そういうときに、たまたま婚礼のお客さんが来て「今、電気故障してるんです」って言い訳したり(笑)。
―― 「こんちわ」って入っていくと、奥にブスッとした頑固面の親父が布団いじくってたりして。「何?」みたいな顔をされたら、やだなって思っちゃう。だったら「いらっしゃいませ〜」って言ってくれる量販店に行っちゃう。
カバ 現実的に言うと、やっぱりそういうお店が多いから・・・。
―― ボクは仕事柄、個人店のプロモーションとか、接客態度とか、すごく気になる。
昔は地域の結びつきが強かったし、大型量販店もなかったから、商業活動も隣近所が中心だった。だから、ブスっとした個人店でも「アイツはああいう奴だから」で分かってもらえていたんだけど、今はそうじゃないから。
職人気質ってのは個人店ならではの売りだから、そこを失っちゃいけないんだけど、販売員としてのセールス意識とかサービス精神もないと、今の人は買いに来ないでしょう?
カバ それは布団屋だけの問題じゃなくて、今、個人店みんなが抱えてる悩みでもあるよね。
―― テレビでバーンとかラジオでバーンっていう意味じゃなくて、まあ、もうちょっと入りやすくしてやったらどうか?っていうくらいの話なんですけどね。
布団屋の親父は怖くないよって(笑)。
カバ 我々の世代、もう頑固じゃないんだけどね(笑)。
―― でも、布団屋の親父って「頑固親父」ってイメージ、ありません?
カバ オレは店なんかはささやかだけどね、ひとつだけ言うのはいつも同じ顔で接客する、そういう店でいようと。機嫌がいいとか悪いとか、波があるとお客は来ない。
だから、いつお客が来ても、同じ顔で接客する。
―― それ、大事ですね。
カバ 「てんびんの詩」っていう近江商人の映画があって、鍋蓋行商の話で、なかなか売れない。自分のところの使用人の家に行って「買え」ってやるけど「おぼっちゃまダメです」って。「だんな様から買ってはいけないと、きつく言われているので買えません」って。
「オマエなんか首だ」とか言うんだけどね、そうやって回って途方にくれたら川に置いてあった鍋蓋を見て、この鍋蓋も自分のように苦労して人が売ったと思って、無心に洗ったら、その気持ちを知った持ち主のおばちゃんが買ってくれたっていう。
そういう考え方って大事だと。
―― 買ってくれ買ってくれ、じゃ売れないんですよね。
本当に売っているモノは、ハートじゃないと。
カネでも規模でも大型量販店には届かないだろうけど、ハートは無限。だから、そこで戦っていくしかないんです。
カバ そのためのホームページだしね。ウチらの心意気・・とまでは言わないけれど、布団屋に限らず、地域のお店をもっと見直してほしいとは思うな。イイ仕事してるんだから。そのために、ウチらも工夫して、もっといいお店にしていかなきゃいけないね。



インタビュアー(記事執筆)

うるの拓也

漫画家・WEBプロデューサー。1964年茨城県出身。うるのクリエイティブ事務所 代表。
85年、漫画家として少年ジャンプにてデビュー。連載経験を経て87年より都内広告代理店にて広告デザイナーに転向。91年より独立。現在は、広告コミックを多数手掛けるほか、広告・WEBプロデューサーとして、300社以上の企業サイトも担当。
(詳しくは「urutaku.com」)


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