| カバ |
: |
もったいないってだけじゃなくて、品質もちょっとね。市場に出回ってる布団って、殆どは、本来我々が布団っていう物では無いんですよ。
6,900円で掛け布団と掛け布団かバー、敷布団と敷布団かバー枕と枕カバーがついて6千何百円、それにベッドがついて何とかが付いて1万4千何百円。アレって、布団屋からすれば、ふざけるなっていう話なんですよ。 |
| ―― |
: |
だいたい布団屋さんの感覚からしたら「今ならもう1枚お付けします!」とかあり得ないんでしょ。魂込めて打ってるわけだから、カンタンにもう1枚なんて言えるわけがない。 |
| カバ |
: |
アレを修繕したいって持ってきた人いるんだよ。お値段以上×××の羽毛ふとん9,900円ってヤツ。 |
| ―― |
: |
ああいう格安布団って直らないんでしょ? |
| カバ |
: |
無理。これはお持ち帰りくださいって言うしかない。とてもじゃないけど修繕して使うもんじゃない。でも、掛けてたらダストアレルギーとかになるんじゃないかって心配になる。 |
| ―― |
: |
でも、見てくれはキレイに作ってるから、使ってる人はわからない・・・ |
| カバ |
: |
アレってニワトリの羽根だもん。じゃなきゃ、9990円で売れないって。
商社を経由して中国の山奥の工場から…だから委託生産したときはいくらで作ってるのこれ?って話 |
| ―― |
: |
あけて中を見てみたりすると・・・ |
| カバ |
: |
小羽根がそのまんま入ってたり、ゴミみたいなのが詰まってたり・・・ |
| ―― |
: |
うわぁ・・・。 |
| カバ |
: |
いや、ほんとにそういうのがあるんだから。打ち直しに来る人は、ちゃんとした布団を使ってるから、中を見ても大丈夫なんだけど、打ち直しにこない人って量産品でしょ。中がどうなってるか分からないよね。 |
| ―― |
: |
こわいですねぇ。 |
| カバ |
: |
オレ、そういう布団って、いずれ駆逐されるだろうって思ってたんだけど、いつまでも駆逐されないんだよねぇ。 |
| ―― |
: |
それは逆に言うと消費者が本物を選ぶっていう目を持たなきゃダメだってコトですよね。 |
| カバ |
: |
ただね、これは解るだろうっていう…聞いた話なんだけどね。とある会社で、今年の正月に5980円の羽毛布団っていうのを40万枚作ったらしい。でも、中国から荷揚げ船便で20万枚は強制送還。何故か?臭くて上げられない。 |
| ―― |
: |
臭い? |
| カバ |
: |
うん。チラシで謳ったから売り場へ出したら、売り場の周りから「臭い」って苦情が出て。なんだこの臭いはって。それが5,980円の布団。そんなもん買って、二度と羽毛ふとんなんて使いたくないって思うよね。 |
| ―― |
: |
大手の大型スーパーとか量販店とかの名の通ったお店で、そういうコトが起こってるわけですか? |
| カバ |
: |
前にも大型スーパーの○○○がそれでね、公正取引委員会に注意を受けたりしてたからね・・・。もっとも、悪意でやってるわけじゃなくて、布団の善し悪しを見分けられないから、そうなっちゃうんだろうけど。 |
| ―― |
: |
こう言っちゃなんだけど、やっぱり一般の消費者って言うのは寄らば大樹の陰で、町にどんなにこだわった良質なお店があったとしても、結局は大きい会社とか大きいお店とかに行きがちで、それが安心だと思っちゃう部分ってありますよね。
本当は個人店がイイ品って部分もあると思いますよ。規模で勝てないんだから、質で勝負するしかないんだもの。大手と同じ品質じゃやっていけないんだから。 |
| カバ |
: |
電気製品なんかは安ければ安いほどいいかも知れないけど、それと同じように布団を考えられちゃうと困るんだよね。 |
| ―― |
: |
布団屋さん的に言うと、布団って言うのは山積みしといて「ハイ、これが商品ですよっ」て買ってもらうのではなく、1つ1つ作るモンなワケでしょ。 |
| カバ |
: |
店頭に飾るものはあるにしても、多くは注文ですね。
布団は棚から買ってショッピングカートに突っ込むってものじゃなくて、作るもの。それが常識だったと思うんだけど、いつの間にかそうじゃなくなった。 |
| ―― |
: |
それ、逆に考えると、もっと昔の、多くの人が布団屋さんに頼ってた時代っていうのは、みんな「今よりいい布団」で寝てたってことになるのかも。
現代になって豊かになってるのに、布団は悪くなってるんじゃないのかな? |
| カバ |
: |
元々は綿って貴重品だっていう概念があったの。
例えば、最近まで「江戸時代の綿じゃねえの?」ってのを使ってる人がいるんだ。農家なんだけどね。で、オレの親父の世代だと、それをきっちり打ち直して、ちゃんと形になっちゃう。それを又何年も使って、っていうパターンでそれも伝わっちゃってる。
何故かっていうと、自分の財産だから捨てられない。
何十年も使ってカチンカチンの綿でも捨てられない。 |
| ―― |
: |
「江戸時代の綿」ってスゴイですね。今でも使えるの? |
| カバ |
: |
モノは最初はいい綿だったかもしれないけど、いくらなんでもキツいですよね。
だから、痛しかゆしっていう部分もあるんだよね。確かに綿の寿命はかなり長いんだけど、いくら打ち直したって、さすがに江戸時代じゃキツイ。 |
| ―― |
: |
綿の寿命ってどれぐらいなんですか? |
| カバ |
: |
一概には言えないけれど、30年とか40年っていうサイクルですね。 |
| ―― |
: |
となると、2〜3世代は大丈夫ってことですね。家と同じくらいだな。
やっぱ貴重品のサイクルですね。それを10年くらいで捨てちゃうんだから、やっぱりモッタイナイ。 |
| カバ |
: |
元々の布団は、その人ごとに作っていた「特注品」なわけだから。それを打ち直しながら、常に使う人にフィットするようにしていくっていうのが布団のあるべき姿なんですよ。
でも、それは「布団屋で作った布団」だからできることで、工場で大量生産される布団じゃ無理なことが多いんです。 |
| ―― |
: |
そういう、いい部分を現代人は活かせていないんですね。
こないだヤフーのニュースで、粗大ごみの中で(布団が)かなり上位だって話が…
夢の島あたりに捨てられちゃうモノの中でナンバーワンだ、みたいなことが書いてあったんですよ。記事中でも、もうすこしエコを考えて、布団の再生とか打ち直しを考えるべきじゃないかって、そういう意見もあったんですけどね。 |
| カバ |
: |
布団屋が頑張ってる地域なら、そんなにゴミになってないと思いますよ。 |
| ―― |
: |
じゃあ、そういう意味でも布団屋さんは頑張んなきゃいけない。 |